2019年3月9日に九州小型衛星の会&第18回宇宙環境技術交流会を九州工業大学戸畑キャンパスMiLAISにて行いました。 当日は、九州内で衛星や衛星搭載用コンポーネントの研究・設計・開発・運用を行っている企業・大学の現状報告を頂きました。
交流会開始の挨拶
宇宙産業に関する調査で世界的に知られる「Bryce Space and Technology」(米国バージニア州)が発行したレポート「Smallsats by the Numbers 2019」によると、運用する小型・超小型衛星の数において、本学は大学・学術機関の中で世界1位となりました。これは2018年に続いての1位となります。
2012-2018年の間に打ち上げ・運用された600kg以下の衛星のうち、本学は13基で世界1位、2位にはベルリン工科大学(ドイツ)、コロラド大学ボルダー校(米国)、清華大学(中国)が8基、サンノゼ州立大学(米国)が7基、トロント大学(カナダ)、南洋理工大学(シンガポール)、カルポリ エアロスペースなどが6基で並んでいます。
これらの衛星は宇宙環境技術ラボラトリー所属の研究室(趙研究室、奥山研究室)で製作された衛星になります。
なお、2019年にはすでに1基の衛星が軌道上に送り込まれ、2019年中に更に3基が軌道上に投入される予定です。
◇レポート:Smallsats by the Numbers 2019(PDFファイルが開きます。)
2019年2月15日(金)、戸畑キャンパス鳳龍会館、及び総合研究2号棟において、本学、ネパール科学技術アカデミー(ネパール)、アーサーC.クラーク近代技術研究所(スリランカ)が、共同で開発しているBIRDS3の衛星フライトモデルが完成を向かえ、報道関係者の方々を対象に、完成披露会を開催しました。
TV局、新聞社の報道関係者に対して、BIRDS3衛星3機の完成報告と衛星ミッションについての説明を行うとともに、実際に完成した衛星3機の公開を行いました。さらに尾家学長から、ネパール科学技術アカデミー長官のシュレスタ氏に衛星模型の贈呈が行われました。また、この様子は、翌日のネパール最大の新聞「National Daily in Nepal」の一面に大きく取り上げられました。
その後、3機の衛星は2月18日(月)に筑波宇宙センターにてJAXAに引き渡されました。
今後は、アメリカからロケットで国際宇宙ステーション(ISS)に運ばれたのちに、2019年度中に日本の実験棟「きぼう」より放出される予定です。
会見後のメンバー集合写真
衛星フライトモデル
宇宙環境技術ラボラトリーとシンガポール・南洋理工大学(NTU)との共同プロジェクトとして開発を行ってきたAOBA-VELOX-Ⅳですが、2019年1月18日9時50分20秒(日本時間標準)にイプシロンロケット4号機に搭載されて打ち上げを行いました。ロケットは計画通り飛行し、AOBA-VELOX-Ⅳは宇宙空間に正常に分離されました。また、NTUの地上局で1月18日10時20分に衛星からの信号の受信が確認されました。
AOBA-VELOX-Ⅳの目的は、ルーナーホライゾングロー(LHG)撮影を目指した、パルスプラズマスラスタ(PPT)によるCubeSatの姿勢・軌道制御と超高層大気撮像高感度カメラの実証を目的としています。
今後は搭載された下記ミッションの検証・実験に移っていきます。
AOBA-VELOX-Ⅳ イメージ図
宇宙環境ラボラトリーとシンガポールの南洋理工大学が共同で開発した2UのキューブサットSPATIUM-I衛星は、2018年9月23日、HIIBロケットによって種子島宇宙センターから国際宇宙ステーション(ISS)に打ち上げられた後、10月6日、日本時間16:45に日本実験棟(きぼう)から軌道上に放出されました。その後、10月7日の21:17に九工大局にて衛星からの電波を受信し、衛星が正常に起動したことを確認しました。現在、九工大局では、信号を復調するための設備調整を行なっています。
SPATIUMプロジェクトの目的は、超小型原子時計を備えたキューブサットコンステレーションによる3次元のグローバル電離層マッピングです。SPATIUM-Iは同プロジェクトの最初の衛星で、電離層マッピングに必要な以下の技術の実証を目的としています。
SPATIUM-I衛星の主なミッション・データは、CSACのクロック数、1PPS信号、温度データからなり、通常状態では、467MHzのSS変調UHF電波にて、8分の休止時間をおいた後2分間送信することを繰り返します。
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フィリピン、マレーシア、ブータン各国と共同で国際宇宙ステーションから3機、同時に放出を目指している衛星開発プロジェクト(BIRDS-2 Satellite Project)ですが、8月10日(金)18:45に3機の衛星が国際宇宙ステーションからの放出に成功しました。
パブリックビューイングではJAXAつくば宇宙センターを映し出しているYouTubeの動画をを中心に衛星放出時の喜びを分かち合いました。
また、19:15過ぎにモンゴルでの電波受信、19:30過ぎには九工大内の地上局でも電波受信を成功しました。今後はBIRDS-1、BIRDS-2の各国での電波受信の確認、及び各衛星の運用を行っていきます。
BIRDS-2衛星3機は、2018年8月10日に国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」から、無事に軌道上に放出されました。
衛星放出にご尽力いただきました関係各位に深く感謝いたします。
放出後は、各衛星からのビーコン信号を受信し、全衛星3機の生存を確認いたしました。
現在のところ、次の運用段階に移行する準備として、各衛星の健康状態の調査を行っています。
衛星信号受信の過程で、世界のアマチュア無線家の方々に多大なるご支援をいただきましたことに深く感謝いたします。
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国立大学法人九州工業大学は、長期にわたり連携を続けてきた株式会社インフォステラとの連携関係をより深め、共同研究と人材育成をさらに推進することを目的に、平成30年4月6日に包括連携協定を締結いたしました。
本協定に先がけ、インフォステラは、九工大が参加するJoint Global Multi Nation Birds Project(略称:BIRDS Project)の地上局ネットワークの構築に協力するため、現行のStellarStationプラットフォームのプロトタイプを提供してまいりました。インフォステラの代表取締役CEO倉原直美は九工大出身であり、在学中は工学研究院先端機能システム工学研究系 趙孟佑教授の下で研究を行っていました。長期にわたり連携してきた九工大とインフォステラは、この新たな協定によりさらに一歩進んだ連携体制を確立しました。
九工大は、アマチュアUHF帯のダウンリンクに特化したサービスStellarStation Amateurを、同大学の地上局にすでに導入しています。現在、StellarStation Amateurは九工大が開発した衛星を含む複数の衛星の自動テレメトリ収集に使われています。
この協定を通じてStellarStation Amateurの継続的なテスト実施を推進していくとともに、九工大とインフォステラのエンジニア間での情報やスキルの交換、さらには衛星運用の共同研究も促進してまいります。
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宇宙環境技術ラボラトリーが開発と試験、安全審査等を支援したコスタリカ初の人工衛星「Irazu」が平成30年5月11日(金)19:30に国際宇宙ステーションより無事、放出されました。
当日は本学戸畑キャンパス内でパブリックビューイングが行われ、コスタリカの留学生がメンバーとともに、放出の様子を見守りました。宇宙空間への放出の模様がJAXAウェブサイトにてライブ中継され、その後の電波受信でも九州工業大学内に設置した地上局にて5月12日1:20に無事、受信を行うことが出来ました。
人工衛星「Irazu」はこの後、メインミッションであるコスタリカ熱帯雨林の観測データや天候、土壌、樹木成長に関するデータ取集を目的とする通信衛星の技術実証を進めていくこととなります。
ISSからの人口衛星「Irazu」放出の様子はこちらから(JAXAウェブサイト)
Irazu衛星をJAXAに引き渡した際の様子はこちら
Irazu衛星 フライトモデル