ルーナーホライゾングロー(Lunar Horizon Glow、LHG)

月の地平線が何かの反射光によって明るくなるルーナーホライゾングローの現象は、アポロプログラムの月探査時代から観測されて来ました。日の出または日没を見ている月軌道を巡るオービターと月の地面の着陸船によって監視されるこのルーナーホライゾングローは、地平線近くのダストの粒子と太陽光の反射光から起きるのでは無いか思われています。月表面のダストは隕石の衝突イベントと宇宙風化によって生成された月表面の土のような層であります。 月のダストの粒子は、地球上のどの模擬粒子よりもかなり鋭く、月探査ミッションに次のような問題を引き起こします。

  • 機器とセンサーの誤動作
  • 光学観測データのエラー
  • 宇宙船/ソーラーパネルの材料の劣化
  • 熱特性の変化
  • 放電
小型探査機によるLHG観測の概念図 NASAのサーベイア7のTVカメラで観測されたLHGの様子 ©NASA

有人月探査計画が進められている今の時期に最も重要なことは、次のリスクがまた予測されています。実はこのリスクのほとんどはすでにアポロプログラムの宇宙飛行士によって経験されています。

  • 呼吸の問題
  • ダストを吸い込んだ直後に月の干し草熱が発生した
  • 着陸モジュール、宇宙飛行士の衣服、および将来の生息地の汚染
  • 視力の問題
  • 長期暴露による未知の健康問題

LHGを観察して月表面に近い低高度の月ダストの存在量を見積もる事で、月探査プログラムの宇宙飛行士や探査機の安全にとって非常に重要な、月表面と低高度のダスト粒子に関する重要な情報が得られます。また科学的に、LHGの現象が起きる時間と場所、観測条件、LHGの様子の違いなどを把握する事も非常に価値があります。

船外活動中の宇宙飛行士 ©NASA 月のダスト粒子の写真 ©ESA